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「 シン・レッド・ライン 」は迫力のある戦争映画ではあるが、説教臭さが満載の説教系戦争映画

2016年02月01日 (月) - 15:47:59 (JST) 戦争映画
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戦争映画「 シン・レッド・ライン 」は大東亜戦争(太平洋戦争)に於けるガダルカナル島での戦闘をテーマに描いた秀作だ。

1942年、先の大戦の真っ只中、太平洋戦線で新たな動きが始まろうとしていた。対米戦、開戦直後、破竹の勢いで勝ち進んでいた日本軍だったが、そ の勢いにもかげりが見え始める。大日本帝国海軍が米海軍相手に、4隻の正規空母を失ったミッドウェー海戦で大敗北を喫し、アメリカ軍は次なる、反攻作戦の 準備をはじめていた。

その攻略目標は、ニューギニア、ソロモン諸島、ガタルカナル島。日本軍はこの島に飛行場を作り、米国と豪州の連携分断を狙っていた。 アメリカ軍は、この島の占拠が日本国を打倒するため橋頭保となると、最重要目標としており、お互いの国家の戦略上の要衝で、戦闘が今はじまろうとしてい た。日本軍は伸びきった補給路の先端であるこの島での消耗戦に、また、アメリカ軍は、初めての対日本軍との本格的陸上戦での、占拠作戦と、厳しい環境の 中、両国の間に余裕など微塵もない。

日米問わず、無名の若者たちが、さまざま戦場に送り込まれていく。戦争という巨大な装置に有無も言わず、ただ従うほかはない。四国の半分ほどのこの小さな島で、死闘はただ、無常にも続く。

シン・レッド・ライン のあらすじ

1942年、先の大戦のさなか、アメリカ軍の日本軍に対する本格的な陸上での反攻作戦が始まる。ニューギニア、ソロモン諸島、ガタルカナル島。アメ リカ軍はこれらの島の占拠を反攻作戦の最初の作戦目標として侵攻作戦を開始する。両国の覇権がぶつかるこの地域の最先端のガダルカナル島に、若きアメリカ 人兵士が送り込まれる。ウィット二等兵(ジム・カヴィーゼル)やウェルシュ曹長(ショーン・ペン)をはじめとするアメリカ陸軍C中隊の面々も作戦に参加、 地上の楽園と見間違う、ガタルカナル島に上陸するも、そこで彼らが、体験するのは、血で血を洗う死闘、人間が作り出すこの世の地獄、餓鬼道に落ちた人間の島「餓島」での戦闘だった。

上官の功名のため、突撃を要求される、ムカデ高地、通称「血染めの丘」での勝利を経ても、彼らが闘いから解放されることはない。次から次に、戦闘は続き、ウィット二等兵は、次第に追い詰められていく。

一方、ウェルシュ曹長は与えられた任務と戦闘をただ黙々こなし、人間の感情を捨てた「ただひとつの駒」として、戦場に身をおいていく事になる。

 

シン・レッド・ライン のみどころ

一般に、このシン・レッド・ラインという戦争映画は、テレンス・マリック監督が長いブランクの後にメガホンをとった意欲作であり、1999年の公開 当時は非常に話題になっている。この映画の感想として多いのが、テレンス・マリック監督の戦争に対する痛烈な批判メッセージを込めた「説教戦争映画」とい うイメージではないだろうか。

教条的な反戦メッセージが次々とウィット二等兵の口から語られており、それが、人間がもつ平和を求める美しさと、一方でシステムとして戦争が起こる 帝国主義近代国家のドス黒さを、南国の楽園の自然を隠喩として比較させ、これらを組み合わせ表現することで、立派なテレンス・マリック流の「説教」が完成 してるというのが、この戦争映画のおおかたの論旨の流れである。

無論、それは間違ってはいない。戦争映画とは(西部劇やすべてのアクション・アドベンチャーもそうなのだが)

「ある人物が、ある価値観のために、自ら進んで何かのために死ぬ」

ということを意味しているからだ。その点、このシン・レッド・ラインという映画はその定義を否定しようとしている戦争映画のように思えてならない。 だからこそ、一般的な戦争映画のストーリールールからは大きく逸脱してしまい、多くの戦争映画ファンには受け入れられないものとなっている。しかし、それ こそが、テレンス・マリック監督の鬼才ぶりなのである。このシン・レッド・ラインという戦争映画は、その意味で、戦争映画の中でも異色の名作といえよう。

また、テレンス・マリック監督がこの戦争映画の中から問いかけているのは、21世紀においても人々が、

「何かの価値のために死ななければいけないのか?」

という、現在の混沌として世界を見通したかのような、あるいは予言めいた意図を、このシン・レッド・ラインという戦争映画の中から語りかけているような気がしてならないのである。この問いかけに対しては、私達の世代では恐らく誰もが満足のできる回答を出すことはできない。

シン・レッド・ライン

非常に説教臭い戦争映画ではあるが、説教にリアルさを持たせる為に映画制作サイドは非常にしっかりしている。米軍兵士の個人装備のデティールは忠実 に再現されているし、多くのシーンでは実物のM1ガーランドが使用されている。日本軍サイドのほうも負けてはいない。アメリカ映画の日本軍といえば、時代 考証や装備品については雰囲気だけ日本軍なものが多いのだが、この点はしっかりと考察されて、装備や小道具などが表現されているようだ。日本軍歩兵は99 式小銃をしっかり持っていたように見受けられるし、重火器などの使用再現も忠実にされているので、迫力のある映像に仕上がっている。

1999年と少し古い戦争映画「シン・レッド・ライン」ではあるが、同時期に公開された戦争映画「プライベート・ライアン」とは違う魅力のある映画 ではないだろうか。誰かに叱ってもらいた雰囲気であれば、「プライベート・ライアン」よりも「シン・レッド・ライン」を選んで観る事をおすすめする。

映画のタイトル(原題) シン・レッド・ライン
オリジナルタイトル:The Thin Red Line
監  督 テレンス・マリック
出  演 ジム・カヴィーゼル ショーン・ペン ほか
製作・配給会社 20世紀FOX/松竹富士
公式サイト 公式ウェブサイトの情報は見つかりませんでした。
公 開 日 米国:1999年1月8日 日本:1999年4月10日
上映時間 171分
著作権情報 すべての映像及び画像の著作権はすべて著作者に帰属します。
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執筆者:戦争が好きだッ! さん

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