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音速で飛行する「桜花」の活躍を描く松本零士原作の「 音速雷撃隊 The Cockpit Episode2 」

2016年05月10日 (火) - 22:15:16 (JST) 戦争映画
この記事は約 4 分で読めます。

松本零士氏の不朽の名作 The Cockpitを実力派アニメ監督3人がそれぞれ映像化しました。川尻善昭監督(獣兵衛忍風帖)が”成層圏気流”を、高橋良輔監督(装甲騎兵ボトムズ)は”鉄の龍騎兵”を、そして「 音速雷撃隊 」は、今西隆志監督(機動戦士ガンダムMSIGLOO2重力戦線)が担当しました。

音速雷撃隊 は、メカデザインをカトキハジメ氏が担当しています。カトキ氏はガンダム作品には欠かせないデザイナーで、ガンダムプラモデルでもVer.Kaというカトキ氏がリファインしたバージョンが発売されるほど人気あるデザイナーです。

現存した兵器しか出ない作品にメカデザイナーは必要か?とは思いますが、よりらしく見せるためのリファインデザイナーです。

音速雷撃隊 のあらすじ

1945年8月5日音速雷撃隊は、アメリカ艦隊を屠るため基地を後にした。音速雷撃隊とはレシプロ機では到達不可能な速度域である音速で飛行可能な有人ロケット機”桜花”を雷撃する特別攻撃隊である。

通常雷撃とは雷撃機が敵艦まで近づき魚雷を海面に落とす。着水後魚雷が海面下をはしり、敵艦に命中する。桜花は音速に近い速度域で飛行する。音速域では、空気が液体のように振る舞い想像以上の抵抗となる。このため桜花は、濃密な空気中をあたかも魚雷のごとく飛ぶのだった。

攻撃は失敗に終わった。野上少尉の乗った一式陸攻は、桜花の射程30k圏内にすら近づけなかった。機長が犬死にするなと、パラシュートを付けて落としてくれたのだ。

たった1人生き残った野上少尉は夜の滑走路脇にたたずんでいると、一升ビンを抱えた男がやって来た。男は山岡と名乗り、生き残った野上少尉にねぎらいの言葉をかけ、明日敵艦まで連れて行ってやるという。山岡は明日、野上少尉が乗る一式陸攻の機長だった。他の搭乗員と一緒にメシを食おうという提案に野上少尉は従い、格納庫で他の乗務員と会う。山岡中尉以下6名が一式陸攻のクルー。そのうちの1人が野上少尉に尋ねる。「おまえ、戦争にならなんだら、何になっとった?」

「ロケット技師、あと30年生かしてくれたら、、、月までロケット打ち上げてみせる。」

その時、琴のもの哀しい旋律が聴こえてきた、、、

 

音速雷撃隊 のみどころ

松本作品の映像化で最も成功した作品です。非常に原作のニュアンスを大切にして製作しています。例えば、原作の描れた昭和49年の松本零士氏のタッチはGペンを使用し、太細のある力強いが不安定な線で描画されていますが、原作のタッチそのままの絵でキャラクターが動いています。

これは当時初の試みであり、話題とありました。まんがのコマをそのまま動かしたシーンもあり、あのなに気ない1コマがこんなにカッコ良かったのか!と再発見できました。そしてカラー動画ならではの表現がすばらしいできです。蒼天と純白の雲塊をバックに炎をまとい桜花を抱いて飛ぶ一式陸攻の美しく哀しいシーンが印象的です。また米軍機が撮影したガンカメラの映像もアニメで再現されておりみどころの一つです。

松本零士氏のメッセージもきちんと伝えられています。この作品のキーワードは”30年”です。野上少尉は、「あと30年生きれたら、、、」と想いを語りますし、山岡中尉も「この戦争で死んだ世界中の若いのがあと30年生きていたら、、、」と無念がります。

音速雷撃隊

敵国アメリカ人も「あいつは天才だった。あと30年生きていれば、ディズニーを失業させた、、」と仲間の死を悼みます。30年は人が何かをやり遂げる時間であり、1世代でもあります。夢というあいまいな表現をせず、具体的な時間を語って若者の無念を表しています。

今日の世界は前大戦の犠牲の上に築かれています。今の世界は野上少尉たちに見せて納得してもらえるのか?と考えてしまいました。

残念なことが一つだけあります。演出上の都合ですが、桜花の性能をそうとう”盛って”ます。桜花が音速を突破できるのは位置エネルギーを利用し、急降下したときにのみです。水平飛行の場合最高速は648㎞/hです。当時、P-51Dマスタングが最高速703㎞/hを達成しています。

桜花が敵艦に到達時は648㎞/h+α程度であり、レシプロ機と大して変わらない速度であり、P-51Dマスタングなら十分に桜花に対処する事が出来ました。

兵士それぞれの戦争への思い、怒り、そして兵士が感じる理不尽さを忠実に再現したアニメだけに、この点についても「無敵の兵器 桜花」ではなく、史実に沿ったリアルな描写であれば、個人的にはもっと「 音速雷撃隊 The Cockpit Episode2 」に感情移入する事が出来たのではないかと思います。

 

文:こんちゃん

映画のタイトル(原題) The Cockpit Episode2 音速雷撃隊
監  督 今西隆志
出  演 緑川光(野上少尉) 緒方賢一(山岡中尉) 塩屋浩三 (股上一飛曹)
製作・配給会社 マッドハウス、ジャコム、ビジュアル80
公式サイト 公式ウェブサイトの情報は見つかりませんでした。
公 開 日 1993年
上映時間 約30分
著作権情報 徳間書店
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執筆者:webmaster さん

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