『恋人たちの予感』レビュー

男女にはセックスが介在する。だから、男女の友情は存在しないのか。非常に興味深いテーマのドラマチックコメディである。

メグ・ライアン演じるサリーは、ネクラで無神経を絵に描いたような男ハリーと出会う。もともと自分の親友の彼氏として紹介され、ニューヨークへ行くのに道中を共にしただけだった。

だが、この出会いが最悪で…ハリーはそんなつもりはないが、サリーをイライラさせる会話ばかりをしてくる。「君は魅力的だ」というハリーに「恋人の親友を口説かないでよね!」とバリアをはるサリー。
会話も噛み合わず、本当に最悪の組み合わせ!あなたもこんな経験をしたことがないだろうか。私はある。初対面から「なんか嫌な奴」と思った男がいる。そして、大概相手も同じように感じている可能性大だ。

サリーの場合は、忘れた頃にやってきた、この「嫌な奴」ハリーとの再会。大学卒業後にもうみんな定職についている。お互い恋人や婚約者がいて当たり前だったが、相変わらずハリーの歯に衣着せぬ物言いはサリーの心にイライラを起こさせる。

そんな折、サリーは付き合っていたジョーとの関係が終わる。偶然だが、同じようなタイミングでハリーのほうも離婚をしていた。彼は妻が他の男性に取られたことに傷心していた。

ある時、サリーとハリーは食事をしながら互いの縮まらないことを語り合い、理解を深める。なんでも話し合う仲となり、セックスを介在させない友人同士として付き合う。不思議と一緒にいると、自然体でいられる相手。二人は少しずつ互いを慰め、大切に扱うようになる。
男女を意識するような場面がチラホラあったりだが、なかなか縮まらない友人の距離。ここのところが、なんとももどかしい。

ハリーもサリーもデートの相手はいるのだが、ハリーは別れた妻をひきずり、サリーは心が埋まらないまま季節が過ぎていく。
サリーとハリーは口喧嘩しても、ハリーが折れるようになっていた。時折、サリーを見つめるハリーのあたたかい視線にドキリ。でもなかなか友人から脱せない…。

男女のあいだに友情は存在するかと問われれば、私は『イエス』と答えたい。私個人の考えだが、友情や信頼を感じない異性とは異性関係になるのはむずかしい。その点ハリーときたら。『君は魅力的だがセックスをしたいと思わない』と言っておきながら、傷ついたサリーを放っておくことが出来ない。ついに一線をこえる。ただ、その後の気まずさといったら…誰にでも経験があるのではないだろうか。

サリーは傷ついたままハリーを避けるが、ハリーは思いついたようにサリーを見つけ出すために街を奔走する。
一分一秒はやくでも伝えたい想い、それは「これが愛なのだ」ということ。素直になれないサリーに、ハリーは「君を愛しているんだ」と伝える。「涙で鼻水を流す君も、レストランのメニューを決めるのに一時間もかかる君も、すべて好きだ」と。
ありのままの自分を受け入れ、愛してくれる男性がこの世のなかにどれほど存在するだろう。サリーは本当に手に入れたかった愛を手に入れた。

少しだけだが、二人の心ががっしりと通い合った瞬間に涙が滲んだ。ニューヨークの洒脱なセンスが光る映画だが、心温まること間違いなし。
劇中で、サリー演じるメグ・ライアンが「女は感じているフリをしているだけなのよ」と言って、レストランで喘ぎの演技をしてみせるシーンがある。この辺りは本当に笑えるし、痛快ですよ。

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