『永遠に美しく…』レビュー

女性なら誰しも、若々しく美しくありたいもの。『永遠に美しく…』は、そんな女性の虚栄心や欲望をブラックタッチに描いたコメディである。
面白いだけでなく、美とは何か?について考えさせられる映画だった。

メリル・ストリープ演じるマデリーンは落ち目の女優だが、ある日、旧友のヘレンと再会する。ヘレンは凄腕の美容外科医アーネストと婚約していた。
ここからが女のドロドロした闘いになるのだが、マデリーンはヘレンの恋人たちを今まで奪ってきたような女である。そして、今回も当然アーネストを略奪し、結婚してしまう。
失意のヘレンは見るに堪えないデブ女と化してしまうのだが…。
だが、ヘレンはデブ女では終わらなかった。用意周到に、マデリーンに復讐を果たすために、昔のスリムな体に戻り、美貌を取り戻していた。
自分から大切な人を奪ったマデリーンに殺意すら抱いているヘレンは、マデリーンとの結婚生活に嫌気がさしたアーネストとマデリーンの殺害計画を企てる。

まず、私はこの映画でゴールディー・ホーンを初めて知ったのだが、なんてキュートな女優さんなのだろう!と魅力に感じた。でも、復讐に燃えるずっと前の地味だった彼女のお顔が本当に好き。チャーミング。
ネタバレになるのであまり詳しくは書かないが、永遠の若さと不老不死を与える媚薬を持っている謎の女がイザベラ・ロッセリーニであることにも驚いた。
まるでクレオパトラのようなオーラを放つこの女は、もちろん媚薬を飲んで70歳はいってるのに、若い肉体と美を保ち続けている。
マデリーンは、老いが許せない。自意識過剰なくらい若さや美貌にこだわる。この謎の女から、小切手を払い、媚薬を手に入れる。

しかし、なんだな。若さは手に入っても、死なないというのは逆に生き地獄なわけで。
階段から落ちたら、首から下が頭と揃ってないし、銃弾を打っても腹に穴は開くけれど生きたままだし。
結局、マデリーンとヘレンは和解するのだが、ハリボテみたいな肉体を持て余し、永遠に生き続けなければならないという…。
二人の体をメンテナンスしてくれるアーネストは、行方をくらまし、二度と彼女らの前に生きて現れなかった(女に振り回されるのに懲り懲りしたのだろう、彼は媚薬をすすめられても飲まなかった。)
私はアーネストを演じたブルース・ウィリスはよく知らないが、こんな役もする役者さんだったのねと楽しんで観た。

結局のところ、本物の美とは内面から溢れ出るエレガンスなスタイルである。
映画の中のマデリーン、ヘレンはあくまで外見上の若さと美を追い求めた結果、失敗しているとしか思えなかった。
スタイルとは、くびれたウエストラインや強調された胸ではなく、その人の内面から滲み出る圧倒的なオーラである。いつまでも若さにしがみついていてはいけない。すべては表面上のことではないか。
そして、年輪を重ねた、笑い皺も魅力的に思えるような女性になりたいものだ。私は不老不死にはなりたくないなあ。年相応の美しさを保って、限りある人生を全うしたい。
しかし、こんなチャーミングな女優二人が見せる哀れなお間抜けに、クスっとさせられてしまった。逆に良い教訓を与えてくれる映画のようにも思いました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました