『シング・ストリート 未来へのうた』レビュー

またひとつ爽やかな映画を発見した。
『シング・ストリート 未来へのうた』である。
本作は、1980年代半ばのダブリンを舞台にした青春物語。
コナーという高校生の少年が主人公で、彼の一家は破綻寸前。失業した父は家で酒浸り、母との喧嘩もしょっちゅう耳に入ってくる。
金銭的な事情から私立の学校から無料の公立❝シング・ストリート高校❞へと転校を余儀なくされたコナー。
そこに待ち受けていたのは、厳しい校則といじめっこのバリー。
前途多難にみえた生活だったが、ある時ダーレンという生徒に声をかけられ友人になる。そして、運命の女性ともいえるラフィーナと出会い…。

まず、主演の男の子がとても可愛い。そして、彼が恋するラフィーナもとってもチャーミング!
モデルをしているというラフィーナの気をひきたいがためにバンドを結成し、ミュージックビデオを撮る約束をするという展開も漫画チックだがピュアで可愛らしい。
この映画、80年代の音楽やファッションが好きならそこもハマりどころであろう。映像がミュージックビデオさながら、新鮮かつおしゃれである。
そして、やっぱり彼らの作る音楽!劇中でかかるデュラン・デュランやザ・キュアーなども印象的だが、この映画のオリジナルの歌がまた良いのだ。私は、観終わって早速サントラをゲットした。
音楽好きなら(そうでなくても)是非観て欲しい作品だ。

ラフィーナは、実は身寄りのない娘なのだが夢がある。それは海を渡り、ロンドンでモデルをすること。
彼女は一度試みて夢破れるが、最後はコナーとともに旅立つ。自分たちの夢を追って。
コナーには兄がいて、この兄がまたいい味出している。家族はバラバラになっても、弟に沢山の愛あるアドバイスを送っていた兄。
ラフィーナと新しい一歩を踏み出す弟を、心いっぱいの気持ちで送り出してやるのだった。彼らを送り出したあとの兄が「やったぜ!」と言ってガッツポーズをとる姿に少し涙が出そうになった。
この映画は、希望あるすべての人々に向けられた応援歌だ。いや、今は希望が見えなくとも何かをあきらめずに日々を頑張っている人へ送られた素敵な贈り物である。
だから、どうか沢山の人が受け取って欲しい。素直さを忘れない、それはとても素晴らしいことなんだね。

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