『ココ・アヴァン・シャネル』レビュー

ココ・シャネル。女性なら誰もが憧れる一流ブランドだろう。
映画『ココ・アヴァン・シャネル』(2009年仏)は、ガブリエルという少女がココ・シャネルを確立するまでの物語。
孤児院で育ち、お針子の仕事、キャバレーなどの酒場で歌うシャネルがファッション界に革命を起こし、華開くまでの伝記映画である。

ある日、彼女が酒場で歌っていると一人の男と出会う。男は将校で、バルサンという。
バルサンの愛人になったシャネルは、それをきっかけに一歩ずつ自己実現していく。
人々の享楽の中にいても、彼女は彼女だった。ファッションとは見栄や虚栄心であってはならない。ポーズであってはならない。その人を表すものだ。自分らしさを。
彼女は装飾を取り払った。それは極めてシンプルでミニマルなものだった。
彼女は剝ぎ取った、フリルを、リボンを、体をきつく締め付けるコルセットを。当時、それは従来通りではなかった。そこにシャネルの自分を貫く意志を感じる。
彼女が生み出したもの、ブラックドレス、イミテーションパール、ジャージー素材の服がそれらを表している。
シャネルは使命を果たした。女性を解放するという使命を。既存を破壊したのである。

この映画には、シャネルが唯一愛した男性実業家カペルも登場する。
どこか彼女と似たような生い立ちをしていた彼と恋に落ちる。だが、結婚には至らなかった。カペルは「結婚と愛は別だ」と言い放つ。シャネルは内心傷つきながらも、生涯独身を通した。
カペルとの関係は、彼の交通事故死によって終わる。愛する者の死。その傷さえも、彼女は力に変えた。

「特別な存在でありたいなら、人と違っていなければならない」とはシャネルの言葉だったと思うが、彼女はまさに人と違うことを恐れない勇気ある女性だった。
そして、はっきり物を言うタイプの人間だ。私はそこに憧れる。
いかにも獅子座の女という感じがする。自信に満ち溢れていて、物怖じしない。いつも堂々としている。強いのだ。
残念ながら、私は獅子座ではない。私は蟹座である。私も弱いわけではないかもしれないが、私の強さは自分を守るための固い殻だ。野心とか、野望というものがない。
だが、人生に対する情熱はある。人並以上にあるかもしれない。

シャネルは憧れではあるが、私がシャネルを持つことは一生ないと思う。分不相応だからである。
それでも、彼女の恐るべき精神力は見習いたいものがある。
彼女の死後も、そのエレガンスは絶えることがない。
すべての女性に大きくひらかれた道をファッションで作り上げたココ・シャネルに敬意を表したい。
エレガンスとは、不滅の信念である。シャネルの服やバッグがなくてもいい。彼女が残した精神こそ大事なものだから。

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