人には人の人生があるように、犬には犬の犬生がある。猫には猫のニャン生もあるのだろう。
今回ご紹介する映画『僕のワンダフル・ライフ』は、犬が主人公の物語。
ある日、この世に生を受けた一匹の子犬。彼は、生後数か月で殺処分されてしまい、自分が何のために生まれてきたのか深い疑問を持つことになる。
二度目に生まれてきた時もやっぱり犬だった。この時にイーサンという少年に出会い、大切に育てられたことから、理想の飼い主に巡り合えた犬(彼はベイリーと名付けられる)。
彼は、犬として何度も転生するのだが、果たして生きる意味を見つけられるのか。
犬はとても賢いし、健気な動物だ。
ここでは、彼のことをベイリーと呼ぶことにするが、ベイリーの思考はとても哲学的だ。私たち人間は考える力をもつ。
しかし、この映画では犬も人間並みに様々なことを考えていて、一生懸命に生きることを、その意味を追求しようとする。
イーサンと出会えたことは、彼の犬生にとってすごく幸せなことだった。私は、動物と人のあいだに絆は存在すると信じている。
十数年の寿命を全うした我が家の猫を動物霊園に連れて行ったとき、たくさんの墓石を見た。
犬が一番多かったのだが、単なるペットではなく、家族の一員。そのような印象を受けた(我が家の猫もまた家族であった)。
愛情たっぷりに育てられて、きちんと信頼関係が出来上がっているのが強く伝わってきた。
この映画を観て思ったことは、私はたまたま人間に生まれているが、それは今たまたまなのであって、何度か転生しているのでは?ということだ。
残念ながら過去世を思い出すことは出来ないが、生そのものが旅であり、生きる命をめいっぱい使って使命を果たすということ。そのために、輪廻しているのだとしたら?
私はスピリチュアルを信じるわけではないが、体そのものが滅びても、魂まで消えてなくなるとは思わない。それがなぜかは説明できないのだけど…。
随分昔に付き合っていた人に「生きることに意味なんてない」と言われ、そうかと思ってしまった私。
しかし、やはり命を与えられた意味というのはあるのではと、また最近思っている。
大切な人に何かを伝えるため、果たせなかった夢を叶えるため、理由はいろいろあるとは思うが…。
ベイリーは果敢に生きることにトライする。というか、また生まれてきてしまった以上、その命を生きざるを得ないのではあるが。
動物もののほっこりする映画だと思っていたら、意外に深く考えさせられてしまう作品であった。
生きることをあきらめず、与えられたものをしっかりと生き切っていたら、ベイリーのように本当の幸せを見つけることができるかもしれない。
それは、自分だけのものではなく、きっと誰かを幸せにする力になる。そう信じて、命を大切にしようと思わせてくれた映画だった。
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