映画

『ある天文学者の恋文』レビュー

『ある天文学者の恋文』(2016年伊)を観た。 私の好きな俳優、ジェレミー・アイアンズが出演していたから観たのだが、正直身につまされる思いであった。観たことを後悔していると言ってもいい。 この映画は、ジェレミー演じる天文学者とその教え子エイ...
映画

『コントロール』レビュー

以前、15以上歳の離れた男の友人が「ジョイ・ディヴィジョンを聴くと、危うく死にたくなる」と言っていた。 彼の家に行くと(彼はレコードマニアだった)、ターンテーブルにジョイ・ディヴィジョンのレコードが回っていた。それは、ひどく陰鬱で、深刻で、...
映画

『ファクトリーガール』レビュー

映画『ファクトリーガール』鑑賞。 1960年代のポップアートを巻き込んだ有名人、イーディ・セジウィックという女性の実話を映画化したもので、2006年公開。 良家のお嬢様だったイーディは、ある日、ファクトリーと呼ばれる芸術家たちがたむろする現...
映画

『台風クラブ』レビュー

昔観た映画で忘れられないのがある。とは言ってもリアルタイムで観たわけじゃない。 十代半ばの頃、読売テレビで深夜放送されていた『シネマダイスキ』という映画専門のプログラムがあった。その中で放送されたのが相米慎二監督の『台風クラブ』(1985年...
映画

『ロリータ』レビュー

今でも世界文学の中で最高と言われているのが、ナボコフの『ロリータ』だ。 ロリータと聞けば、ロリコンやゴスロリなどが思い浮かぶ人がいるかもしれないが、そういった文脈で語るのは避けたい。 今回はエイドリアン・ライン監督版の映画『ロリータ』につい...
映画

『ダメージ』レビュー

ファム・ファタールが出てくる映画は数あるが、こちらの作品を観て私はあらためてファム・ファタールというものについて考えてみた。 わかりやすく言えば、蠱惑性があるということなのだろうが、この映画のファム・ファタールであるジュリエット・ビノシュは...
音楽

エレファントカシマシ35th ANNIVERSARY TOUR2023感想

エレファントカシマシ35周年のツアーライブに行ってきた。 思い返せば、私がエレカシに出会ったのはもう27年も前になる。彼らの『悲しみの果て』を聴いて、すぐ好きになった。 シンプルで骨太なロックサウンド、宮本浩次のまっすぐな歌声に抗いがたい魅...
音楽

藤井風について

昨年は色々あった年だった。変化のあった年でもあった。僅かながらだが、少しずつ生活がまっとうになっていく手応えも感じていた。 一年の締めくくりを平穏無事に過ごすはずだったのだが、年末、思いも寄らないアクシデントに見舞われてしまった。 それは、...
音楽

ザ・スミス~もしも明日世界が滅んでも、私はこれを抱いて死にたい~

もし、世界が明日終わるなら、何を聴きたいか。あるいは、一生自分の中で鳴り響くものは何なのか。それについて考えてみた。 私がザ・スミスというバンドに出会ったのは十代半ばの頃で、それはまったくの偶然だった。 前回レビューした映画『台風クラブ』を...
映画

『あちらにいる鬼』レビュー

封切りしたての映画を観に行った。私の好きな女優、寺島しのぶさんが主演だったからだ。 昨年、逝去された瀬戸内寂聴をモデルにした作家を寺島さんが演じるというのだから観ないわけにはいかなかった。 瀬戸内寂聴といえば、作家・井上光晴なのだが、それを...